日本の政治における現状は、「若者vs老人」でも、「右vs左」でも、「専業主婦vs有職主婦」でもなく「一握りの強欲な売国守銭奴vs大多数の庶民」と言う構図になっています。
この構図は、一部の特権層が利益を追求し、庶民がその影響を被っているとされる状況を指しています。本記事では、この構図がどのように形成され、どのような要因によって維持されているのかを具体的な事例を交えながら解説します。
1. 政治と経済の癒着:一部特権層が政治を動かす現実
まず、この構図を理解する上で重要なのが「政治と経済の癒着」です。多くの政治家は、企業や富裕層からの献金や支援を受けており、その影響が政策決定に反映されることがあります。このような癒着の結果、庶民の利益よりも特定の企業や団体の利益が優先される傾向が生まれています。
例1:公共事業と特定企業への利益供与
例えば、日本では公共事業が多く行われていますが、その一部は特定の企業に利益をもたらすために行われていると指摘されています。こうした事業には、莫大な税金が投入されますが、その恩恵を直接受けるのはごく一部の企業や関連団体であり、庶民にとっては負担増となるだけです。
特に、地方自治体における公共工事や、国による大規模インフラ事業では、特定のゼネコンや企業に発注が集中する傾向が見られます。こうした企業が政治家に献金を行っているケースが多く、利益のために公共事業が利用されているのです。
大手建設会社への公共工事発注割合
例えば大手建設会社への公共工事発注割合は以下です。
- 上位10社の受注シェア:約45%(2022年)
- 一件10億円以上の大型案件における上位企業の受注率:約70%
例2:政治家と大企業による規制緩和の悪用
さらに、大企業が望む規制緩和が進められることもあります。例えば、労働法規の緩和や税制優遇措置などがその一例です。これにより、一部の大企業は人件費の削減や税金の回避が可能となり、利益を拡大できます。しかし、労働者にとっては雇用の不安定化や給与の抑制という形で不利益が生じ、庶民の生活は厳しさを増します。
大企業の内部留保
- 2012年:299兆
- 2022年:484兆円
(出典:財務省「法人企業統計」)
2. 庶民の利益を無視した政策
次に、特権層に利益をもたらす一方で、庶民の利益を無視した政策が増えていることが問題視されています。これは、庶民がどれだけ税金を払っても、受ける恩恵が少なくなっているという現実を反映しています。
例1:消費税の引き上げと所得格差の拡大
消費税の引き上げは庶民に大きな負担を強いる政策の一つです。日本では消費税が段階的に引き上げられてきましたが、その影響を最も受けるのは低所得者層です。消費税は所得に関係なく同じ割合が課されるため、所得が少ない人ほど負担が大きくなります。
税負担の変化
消費税率の推移
- 1989年:3%
- 2014年:8%
- 2019年:10%
一方で、法人税の減税が同時に行われているため、大企業は利益を拡大しやすくなっています。これにより、企業経営者や富裕層が恩恵を受ける一方で、庶民の生活はますます厳しくなっているのです。
法人税実効税率の推移
- 1990年:49.99%
- 2023年:29.74%
例2:年金制度の改悪と高齢者の生活不安
また、年金制度の改悪も庶民にとって大きな問題です。少子高齢化の影響で年金財政は厳しい状況にありますが、その負担は主に現役世代や若年層に転嫁されています。これにより、将来的に年金が十分に受け取れない可能性が高まり、庶民の将来不安は増しています。
しかし、年金制度の見直しに関する議論では、高所得層や富裕層の利益を守るような政策が優先される傾向が見られます。これにより、庶民の負担が増し、格差が拡大しているのです。
年金支給開始年齢
- 2000年:60歳
- 2025年:65歳
- 2022年の年金支給額改定:0.4%のマイナス改定
3. マスメディアによる情報操作と世論の誘導
特権層の利益を守るために、マスメディアが情報操作や世論誘導を行っているとされるケースもあります。日本のマスメディアは、一部の大企業や政府からの圧力を受けやすい体制にあり、その結果、特定の利益を守るための情報が流されることがあります。
例1:政治スキャンダルの報道の偏り
特権層にとって不都合な事実やスキャンダルが報じられないことがある一方で、特定の政治家や政策に対する過剰な批判が行われることもあります。こうした偏った報道により、庶民は本来知るべき情報を得られず、政治の実態を把握するのが難しくなっています。
報道の偏向性
政治関連ニュースの報道時間分析(2022年)
- 与党関連:65%
- 野党関連:25%
- その他:10%
例2:世論調査による支持率操作
また、世論調査の結果が操作され、特定の政治家や政策への支持が高く見せかけられることもあります。これにより、庶民は「自分が少数派なのでは」と感じ、声を上げづらくなる傾向が生まれます。こうした状況が、特権層に有利な政治を維持するために利用されているのです。
4. 政治参加のハードルと庶民の無力感
最後に、この構図が維持される要因として、政治参加のハードルが高いことや、庶民が無力感を感じていることが挙げられます。政治家と特権層の結びつきが強いため、庶民が声を上げても政策に反映されにくい現状があります。
例1:低い投票率と政治家への信頼の低下
日本では、特に若年層の投票率が低いことが問題となっています。多くの庶民が「自分の一票では何も変わらない」と感じているため、投票に行かない人が増えています。これにより、特定の支持層を持つ政治家が選挙で当選しやすくなり、結果として特権層の利益が優先される構図が続いているのです。
投票率の推移
衆議院選挙投票率
- 1990年:73.31%
- 2021年:55.93%
年齢層別投票率(2021年衆院選)
- 20代:33.3%
- 30代:43.2%
- 60代以上:73.2%
政治家への信頼度調査(2022年)
- 「信頼できる」:12%
- 「やや信頼できる」:23%
- 「あまり信頼できない」:38%
- 「全く信頼できない」:27%
例2:政治教育の不足と政治への関心の低下
また、日本では学校での政治教育が十分に行われていないため、若年層が政治について深く理解する機会が少ないことも原因です。これにより、庶民が政治に関心を持ちにくくなり、結果として特権層の思惑通りの政治が続くことになります。
結論:庶民が政治に参加し、声を上げることが重要
以上のように、日本の政治は「一握りの強欲な売国守銭奴vs大多数の庶民」という構図が見られることがあります。この構図を変えるためには、庶民が政治に関心を持ち、積極的に参加することが重要です。選挙への参加や、政治家への意見表明など、個々人ができることから始めることが、将来の日本の政治を変える第一歩となるでしょう。
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