こんにちは。わたしは20年以上にわたり東証プライム企業で部長を務め、数多くの若手からミドル層の育成に携わってきました。今回は、私が長年の経験から得た「真の仕事力」について、皆さんにお伝えしたいと思います。
はじめに:優秀な新入社員から学んだこと
先日、ある新入社員の働きぶりを見て、あらためて「仕事ができる人」の本質について考えさせられました。入社してわずか数ヶ月で、驚くべき成果を出し続けているその社員から、私たちベテランも学ぶべきことが多々あったのです。
「仕事を疑う力」こそが、真のプロフェッショナリズム
なぜ「仕事を疑う」ことが重要なのか
多くの方は「与えられた仕事を確実にこなすこと」を重視しています。確かにそれも大切です。しかし、本当の意味で仕事ができる人は、そこからさらに一歩踏み込んで、その仕事自体の存在意義を常に問い直しているのです。
仕事を疑うための7つの重要な問い
- 仕事自体を無くせないか?
- 本当に必要な業務なのか
- 過去の慣習で残っているだけではないか
- 廃止しても支障がないのではないか
2. この仕事を無くしたら誰が困るのか?
- 実際の影響範囲を把握しているか
- 顧客価値に直結しているか
- 社内の誰のために行っている作業なのか
3. この仕事は自分にしかできないのか?
- 専門性が本当に必要な業務なのか
- 他者への委譲は可能か
- チーム全体の生産性向上に寄与しているか
4. ツールで省人化、自動化できないか?
- デジタル化できる作業はないか
- RPA等の導入検討は済んでいるか
- 既存のシステムで代替できないか
5. 重要度が高い仕事なのか?
- 会社の方針や目標との整合性
- 部門の KPI への貢献度
- リソース投入に見合う価値があるか
6. 緊急度が高い仕事なのか?
- 本当にいま取り組むべき課題なのか
- 優先順位は適切か
- 期限設定は妥当か
7. 目的・目標を実現する上でこの仕事が最適なのか?
- より効率的な方法はないか
- 本来の目的に立ち返って考えているか
- 代替案の検討は十分か
「仕事を疑う」ことで得られる5つのメリット
1. 業務効率の劇的な向上
仕事を疑うことで、無駄な作業や重複した業務を特定し、排除することができます。これにより、限られた時間とリソースを本当に重要な業務に集中させることが可能になります。
2. 創造的な問題解決能力の向上
既存の仕事のやり方を疑い、検証することで、新しいアプローチや解決策を見出す力が養われます。この能力は、キャリアを通じて何度も活きてくる重要なスキルとなります。
3. 組織全体の生産性向上への貢献
個人の業務改善が、チーム全体、さらには組織全体の効率化につながります。「仕事を疑う」文化を広めることで、組織の変革を促進することができます。
4. キャリア形成における競争優位性
常に仕事を疑い、改善を追求する姿勢は、上司や同僚からの信頼獲得につながります。また、この能力は転職市場でも高く評価される要素となっています。
5. 持続的な成長と学習
仕事を疑う過程で、業界動向や新技術についての知識も自然と深まります。これは、長期的なキャリア形成において大きな財産となります。
若手・中堅社員への具体的アドバイス
1. 日々の振り返りを習慣化する
- 毎日の業務終了時に10分程度、その日の仕事を見直す
- 改善できる点をメモする
- 翌日以降の業務改善に活かす
2. 「当たり前」を疑う勇気を持つ
- 「なぜそうするのか」を常に考える
- 前例踏襲に安住しない
- 建設的な提案を心がける
3. 上司・先輩との対話を大切にする
- 改善案は事前に準備して提示する
- データや根拠を示して説明する
- フィードバックを真摯に受け止める
4. デジタルリテラシーを高める
- 新しいツールやテクノロジーに関心を持つ
- 基本的なRPA知識を習得する
- デジタル化のトレンドをキャッチする
5. 組織の目標を理解する
- 部門の KPI を把握する
- 自分の業務との関連性を考える
- 価値創造の視点を持つ
よくある疑問への回答
まとめ:仕事を疑う習慣が、あなたのキャリアを変える
「仕事を疑う」ということは、決して否定的な行為ではありません。それは、より良い仕事のあり方を追求する、極めて建設的な姿勢です。
私の20年以上の経験から言えることは、この姿勢を持ち続けた人材が、例外なく組織の中核として成長していったということです。
若い世代の皆さんには、ぜひこの「仕事を疑う力」を意識的に育んでいってほしいと思います。それは、皆さん自身のキャリアを豊かにするだけでなく、日本の産業界全体の発展にも寄与する重要なスキルとなるはずです。
最後に一言。
完璧を求めすぎる必要はありません。小さな改善から始めて、着実に積み重ねていくことが、持続的な成長につながります。皆さんの挑戦を、一人の先輩として、心から応援しています。
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